生活保護を受けながら自己破産した事例

ご依頼の背景

ご依頼者は，病気により入退院を繰り返していて就労が困難でした。生活保護費からなんとかやりくりして生活することはできていましたが，借金の返済は出来ませんでした。

債権者からは請求の電話や手紙が来ましたが，生活するだけで精一杯であり，申立人はどうすることも出来ませんでした。頻繁に電話がかかってきましたが，電話には怖くて出られませんでした。

ご依頼者にとっては少額でも返済する余裕はなく，当事務所に相談に来ました。

弁護士の見通し

生活保護受給者が借入や返済をすると，保護費の支給が停止されることがあります。ご依頼者にとって生活保護費は必要不可欠でした。

生活保護を受けたまま借金の返済は出来ないため，９０万円の借金でしたが自己破産を検討するべきと考えました。

ご依頼者は弁護士費用が支払えないことを心配していましたが，生活保護受給者は法テラスという国の機関の弁護士費用の立替え制度を利用することが出来ます。（特に，自己破産後も生活保護を受給している方は，法テラスの立替分の支払いも免除されるため，費用の心配はまったくいりません。）

サポートの流れ

ご依頼者の代理人となり，速やかにすべての消費者金融に対して代理人となった旨の通知を発送し，ご依頼者への直接の請求を止めました。

ご依頼者に法テラスの立替え制度の説明をして，話し合った上で法テラスを利用することにしました。法テラスに申込みをして必要書類を準備して援助の決定を得ました。

ご依頼者より生活状況，資産の有無等を丁寧に聞き取り破産の申立準備をしました。病気のご依頼者の負担がなるべく短い期間で済むよう，速やかに破産申立を行いました。

結果

生活保護受給者のため，法テラスより官報公告費用の支払いも援助を受けました。

裁判所では同時廃止事件として扱われ，免責決定を得ることが出来ました。決定が出た後もご依頼者は生活保護を受給していたため，法テラスの立替金の支払も免除されました。

ご依頼者は生活が苦しく弁護士費用を支払うお金もありませんでしたが，借金が全額免除になり，とても喜んでいました。