DVやモラハラによる離婚や慰謝料請求は弁護士に任せるのがベスト

弁護士 加藤 亨 (かとう とおる)

信頼や愛情が根幹にあるべき夫婦関係において、日頃から心身に暴力的行為を受けている場合は、速やかに離婚を目指して安全を確保し、十分な慰謝料を請求すべきでしょう。

ここでは、DVやモラハラによる離婚の進め方や慰謝料請求の方法、弁護士を介入させる重要性について解説します。

DVやモラハラの種類と特殊性

DVやモラハラにはいくつかの種類があり、その暴力には特殊性があります。
いずれも暴力を行う者は、外では穏やかな顔を見せていても、家に入ると配偶者への態度を豹変させることが多々あります。

身体的暴力(DV)

殴ったり蹴ったりするような肉体的暴力を指します。怪我やあざが残るため第三者に発見されやすいですが、わざと服で見えない部分を攻撃したりすることもあります。

性的暴力(DV)

一方が拒んでいるのに性交渉を強要したり、性癖として暴力行為を行いながら性交渉を行ったりする等の行為が当たります。また、避妊の拒否や中絶の強要等も性的暴力として見なされます。

暴言や過度の束縛等(モラハラ)

人格を否定するようなことを言ったり、逆に無視を続けたりして精神的なダメージを与えるものです。家から追い出す行為や家から出さず過度に束縛することもモラハラとされます。

経済的暴力(DV・モラハラ)

経済的な権限を独占し、配偶者の役割や自由を取り上げ、絶対的な力関係を維持しようとします。生活費を全く渡さないケースや勝手に多額の借金を作る行為も該当します。

 
DVやモラハラは、非常に悪質な配偶者への不当行為ですが、法定離婚事由として明記されているわけではありません。従って、DVやモラハラを原因として離婚する場合、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」があると主張することになります。

身体的・精神的虐待は時に命にかかわるほど重大な問題であるため、証拠を提示することで、裁判官を納得させられる可能性が高まります。

DVやモラハラを行う相手に対しては慰謝料の請求ができる

相手から暴力を受け、肉体的・精神的に深刻な苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することが可能です。

特に、DVやモラハラの回数が頻繁である場合・長期間に渡って暴力行為を受け続けていた場合・受けた怪我の程度が重い場合・精神的苦痛のあまりうつ病等を発した場合等は、より高額な慰謝料が認められる傾向があります。

離婚成立と慰謝料請求には証拠を集めることが重要

裁判所に訴えて離婚と慰謝料請求を認めてもらうには、暴力行為が客観的にわかるような証拠を提示することが重要です。

DVであれば、受けた怪我の治療履歴や医師による診断書、怪我の部位の写真は非常に強力な証拠になります。また、行為が発生した時の克明なメモも、当時の状況を知る手掛かりとなるため、必ず残しておくことが大事です。

モラハラの場合、言葉や態度による暴力行為となるため、DVに比べると客観的な材料がすくなくなりやすいと言えます。このため、モラハラ行為を受けた時の日付や状況の記録をより詳細に残しておき、証拠としての度合いを高めることが必要です。また、メールでモラハラを受けた時は会話内容を印刷したり、相手の言動を録音した音声データを用意したりしておきましょう。

いずれも、自分の主張を裏付ける材料になります。

DVの場合は身の安全を速やかに確保すること

DV被害においては、離婚話によりさらなる暴力を呼んでしまうことがあります。このため、まずは別居により物理的な距離を置き、新しい住所地を知られないよう配慮しながら、離婚の準備を進めることが大切です。

配偶者が別居先に押しかけてくる可能性がある場合は、一旦シェルターに入ってから別居先を見つけた方が良いと考えられます。付きまといや押しかけにより暴力行為が継続するような場合、保護命令を発して法的に身の安全を確保する必要があります。保護命令とは、DV防止法により定められた「配偶者が自分に近寄らないようにする命令」で、本人や子、親族への接近禁止・電話等の連絡の禁止・退去により被害者を保護します。

これらの手続きを冷静かつスムーズに行うためにも、別居前の時点から弁護士に相談・依頼しておくことが重要ですし、弁護士だからこそ法律に基づく正当な対抗が可能となるのです。

場合によっては民事事件や刑事事件として法的手段を採ることもできますし、何より相手とのやり取り一切を任せることができるため、本人としては精神的な安定を取り戻すことができるでしょう。

DV・モラハラ被害に遭っている場合は速やかに当事務所までご相談を

家庭内が現場となるDVやモラハラは、被害者が一人で抱え込んでしまうケースが非常に多くみられます。

しかし、加害側である配偶者は、被害者が誰にも言えず我慢する様子を見てさらなる暴力に及びますので、決して我慢を続けず、すぐに弁護士や警察、保護機関等に相談すべきだと言えます。

暴力の中にあって自ら助けを求めることは、非常に大きな勇気を要しますが、自分自身や子供を守るためにも、第三者の力を借りることがとても重要なのです。

当事務所ではいつでもご相談をお受けしていますので、ぜひ速やかにご一報頂き、今後採るべき行動について見通しを立てることを強くお勧めします。