順番に相続放棄をし，借金を処理できた事例

ご依頼の背景

ご依頼者の夫が死亡しました。

夫には配偶者（妻）であるご依頼者と子供２人がいました。夫は事業をやっており，多額の借金があったため，相続放棄をするしかありませんでした。

そこで，まずはご依頼者と子供２人の相続放棄を行うことはわかりましたが，そうすると，夫の借金は夫の兄弟に引き継がれ，夫の兄弟に迷惑がかかるのではないかという心配がありました。

今後，どうしたらよいかわからないため，ご依頼者は当事務所に相談にいらっしゃいました。

依頼人の主張

ご依頼者としては，自分と子供２人が相続放棄をするとしても，夫の兄弟たちに迷惑がかかるのではないか，夫の兄弟たちに迷惑をかけないようにするにはどうしたらよいかわからず，できるだけ夫の兄弟たちに迷惑をかけないように相続関係を処理したいというご希望でした。

サポートの流れ

相続放棄をすると，その放棄をした人は初めから相続人ではなかったことになり，その放棄をした人の次の順位の人が繰り上がって相続人となります。

具体的には亡くなった方の妻と子らが相続放棄をすると，次に相続人になるのは亡くなった方の親（父，母）となります。その父・母が相続放棄をすると，次に相続人になるのは亡くなった方の兄弟となります。

本件の場合，ご依頼者と子供たちが相続放棄をすると，亡夫の両親が相続人となりますが，両親は既に亡くなっているため，相続放棄をしなくとも次の相続人である亡夫の兄弟に相続されることになります。

そのため，ご依頼者が心配しているように，ご依頼者と子供たちが相続放棄をすると，亡夫の兄弟に多額の借金が引き継がれてしまいます。

そこで亡夫の兄弟に借金を引き継がせないよう亡夫の兄弟にも相続放棄をしてもらうことにしました。

まずは，ご依頼者と子供たちの相続放棄を行い，その放棄が家庭裁判所で認められた後に，亡夫の兄弟と順番に相続放棄を行いました。手続きは全て弁護士が代理人となって代わりに申述（申立て）したため，当事者の手間はほとんどなく，速やかに相続放棄を完了させることができました。

結果

ご依頼者は，自分と子供たちの相続放棄を完了させることができただけでなく，亡夫の兄弟にも迷惑をかけることなく，夫の借金（相続）を処理することができ，とても喜んでいました。